ご自分ががんの告知を受けた時に子どもにどう説明しようか、がんだと知らせたら不安になるのでないか、知らせないほうがいいのではないかと皆さん悩まれます。
でも、子どもたちはお父さんやお母さんの様子がいつもと違うことを察していて、伝えないことで不安になっているかもしれません。中には自分のせいだと考える子どももいます。
子どもに向き合える準備ができたら、できるだけ早い時期に伝えることが子どもの心的外傷後ストレス症状を軽くすることにつながるという報告もあります。
正直に打ち明けることは、子どもにとっての成長のチャンスとなるだけではなく、あなたががんと向き合っていく上でも大きな支えとなります。
はじめに伝えたい3つのポイントは①「がん」という病気であること②うつる病気ではないこと③子どもがしたことや、しなかったことによって引き起こされたものではないこと、です。子どもの年齢に合わせて、適切かつ正確な情報を伝えることが大切です。
親ががんになったことを子どもに伝えても大丈夫なのか、どうやって伝えたらいいのか、この先どうやって子どもを支えていくのか。そんな疑問に答え、サポートする情報は
Hope Tree(ホープツリー)~パパやママががんになったら~https://hope-tree.jp/のサイトをご覧ください。また現在通院している病院のがん相談支援センターや臨床心理士、がん専門看護師に相談してみてもいいでしょう。
お子さんのために、そしてあなた自身のためにも勇気を持って伝えてみませんか。私たち相談員はその思いを応援します。
ご自分の辛い症状を主治医に分かって欲しい…、確かに誰でもそう思いますよね。
でも、主治医は治療のプロであっても、多くの場合自分で治療を受けたことはないので、その辛さを体験したことがないんです。だから、その辛さを分かってもらうことはなかなか難しいことかもしれません。
その辛さは生活できないくらいの辛さですか?もしそうであれば「副作用が辛いので治療を少し休みたい」と主治医に相談してみましょう。
「そこまでではないなぁ、我慢できるけど…」という程度であれば、主治医に話して分かってもらおうと思うより、同じ気持ちを体験したことのある人に話してみませんか。県内には様々な患者会や患者サロンがあります。病院内の相談窓口などで「ほかの患者さんと話がしたいので、患者会を紹介して欲しい」と聞いてみてください。または、下記のアドレスから、県内の患者会の情報も見ることも出来ます。
https://miyagi-gansupport.com/network/
体験者と話をすることで「私だけじゃないんだ」と感じることができ、乗り越えられる人も多いようです(こともあるようです。)。
もしかすると、その辛さを「我慢してよいのか」、「我慢しないほうがよいのか…」、それがわからないと思う人もいるかもしれません。その判断は、人それぞれなのです。
「少しでもだるいのが嫌だから、すぐに止める」という方もいます。「半日くらい横になりながら家事をしているけど、再発の可能性が少しでも減るのなら私は頑張る」という方もいます。現在の生活の質を重視するか、将来的な再発リスクを下げることを重視するか、それは主治医が決めることではなく、あなた自身が決めなくてはいけないことなのです。でも、そんな判断を一人でするのは難しいですよね。少し前を歩く先輩たちの声を聴きながら、自分の気持ちを整理してみましょう。
もちろん、私たち相談員もそのお手伝いをしたいと思っていますので、是非ご相談ください。どんな小さなことでも構いません。ご連絡をお待ちしております。
Q)
ずっと抗がん剤治療を頑張ってきた父ですが、副作用のせいか食欲もなくなり起き上がることも出来なくなってしまい、今は治療を休んでいます。主治医から「そろそろ緩和ケアを考えてみてはどうか」と言われました。今まで一生懸命頑張ってきた父に、家族としてそれをどう伝えたらよいのかわかりません。もしも緩和ケアに移ったら、もう治療は出来ないのでしょうか。
A)
緩和ケアとは、からだや心の辛さを和らげ、自分らしく生活するためのものです。
本来緩和ケアは、がんと診断された時から受けられるものであり、緩和ケアを受けながら治療をすることで治療効果が上がったという報告もあります。
しかし今のお父様の状態は、治療効果よりも体力消耗の方が大きくなってしまっているようですね。治療をするためにも、まずは体力が必要です。治療をしてがんを治すことを目標に頑張ってこられたのでしょうが、今はその治療によって身体が悲鳴を上げている状態ではないでしょうか。まず一度治療を休んで、体力を回復させることを考えてみませんか。体力が戻った時点でもう一度治療が再開できるかを主治医に相談してみましょう。
まず今は、からだのつらさを取ることを第一に考えましょう。お父様もそれを望んでおられるかもしれません。でもご本人の思いをなかなか聞き出すことは難しいですね。どのように声をかけたら良いのか、私たちと一緒に考えてみませんか。ご家族も不安なことがたくさんあると思います。その気持ちを一人で抱え込まずに誰かに打ち明けてみてください。ご家族の気持ちに余裕ができると、お父様も安心してご家族に本当の気持ちを話してくれるかもしれません。是非私たち相談窓口をご利用ください。他にも、多くの病院内には無料の相談窓口があり、専門の相談員があなたをお待ちしています。まずはあなたのその気持ちをお話しください。私たち相談員は、そんなあなたからの相談を心からお待ちしています。
Q)
治療のために休職していましたが、体調が落ち着いてきたので、職場復帰を考えています。
ただ、仕事を始めた後の自分の体調がイメージできず、自分がどこまで出来るのか、会社にどう伝えたらよいのか分からず不安です。誰かアドバイスしてくれる人はいないですか。
A)
職場復帰を考えられるまでに体調が回復されて本当に良かったですね。そんな時、誰か先輩の声が聞けたら安心・・・と思っていらっしゃるのかもしれませんね。ただ、病気も仕事も人それぞれですので、「こんな状況だったよ・・・」「この程度なら大丈夫!」と誰かに示してもらうのは難しいかもしれません。
まずは、主治医にあなたの仕事内容を知ってもらうことから始めましょう。その中でどの程度の作業までして良いのか、何に気を付けたら良いのか、具体的に質問してみましょう。
例えば、「(治療した方の腕で)カバンを持っても大丈夫ですか?」「○○分程の立ち仕事は可能ですか?」「運転をしてもいいですか?」など、あなたの仕事を上手に説明しながら、十分に主治医と話し合ってみましょう。
そして、職場にも相談できる人を作りましょう。自分の身体の状況を職場の人に理解してもらうのも大切なことです。職場の上司や健康管理室などに相談してみましょう。
また復帰後は、復帰できた喜びと周囲への責任感などから頑張ってしまいがちですが、自分が思う以上に体力が落ちていることも多いです。無理のない範囲から始め、に少しずつ仕事量を増やすように心掛けましょう。
現在「産業総合支援センター(電話022-267-4229)」では、治療と仕事の両立支援が始まっています。ここは、病院と職場との間に入って調整をしてくれる場所ですので、まずは相談してみてください。
いずれにしても、誰に何をどう相談したら良いのか大きな不安を抱えていらっしゃることと思いますので、まずは相談員にその気持ちをお伝えください。相談員に話をすることで、あなたの気持ちが少し整理できるかもしれません。こんなこと・・・と思わずに、電話でもメールでも構いません。まずはご相談ください。
Q. 夫が抗がん剤治療中です。最近、性格が変わったように私を怒鳴りつけます。一番辛いのは夫なのだとわかっているので「優しくしてあげたい」と思うのですが、ついつい口答えをして喧嘩になってしまいます。私も仕事のこと、子供のこと、これらかの先のことを考えるとどうしようもなく不安なのです。そんな気持ちを、本当は一番相談したい夫に話すことが出来ません。どうしたらいいのでしょうか。
A. ご主人も治療による辛さから、気持ちに余裕がなくなっているのかもしれませんね。ご主人の感情の変化は「病気がさせていること」とまずは割り切りましょう。「夫が怒っているのではなく、病気が怒らせているのだ」と思うと少し気持ちが楽になりませんか。そして奥様自身も、様々な不安を抱えながらも自分がしっかりしなくてはいけない、弱音を吐いてはいけないと頑張りすぎてはいませんか。「家族は第二の患者」という言葉があります。ご家族も、患者さんと同じくらいにまたはそれ以上に心のケアや支えが必要だと言われています。無理をせずに、弱音を吐いてください。不安な気持ちを私たちに打ち明けてください。今抱えている問題を一緒に整理しながら、一つ一つ解決していきましょう。
また、奥様自身がリラックスすることはとても大切なことです。ご主人が辛い時に私だけ楽しむなんて出来ない・・・と思わずに、ほんの少しだけでも自分のために時間を遣ってみませんか。奥様の楽しそうな顔を見て、きっとご主人も喜んでくれるでしょう。そんな中からご主人と話し合う時間が生まれるのかもしれませんね。
一人で悩まずに、まずはご相談ください。
〈ポイント〉
①患者の感情の変化は「病気がさせていること」と割り切りましょう
②「家族は第二の患者」家族にも心のケアが必要です
③家族がリラックスすることはとても大切なことです
ご自分の経験を誰かのために役立てたいと考えていらっしゃるのですね。素晴らしいことだと思います。
体験者の活動の一つに、ピアサポート活動があります。ピアは仲間を意味する言葉で、同じ体験をした仲間同士で支え合う人たちのことをピアサポーターと呼びます。宮城県ではH24年度からピアサポーター育成研修会を開催し、延べ約180名の方が受講されています。
現在、病院内で相談員として活躍できる場は非常に限られています。しかし身近なところでは、患者サロンや、患者会があり、研修を受けたピアサポーターが活動しています。いくつか訪ね、自分の居心地の良い場所を探しながら、誰か一人だけでも、その人のお役に立てたら素晴らしいことではないでしょうか。
そしてまた、その経験があなた自身を豊かにしてくれるものだと信じています。
治療が無事に終わって良かったですね。今まで一生懸命に治療を頑張ってこられた分、病院に行かなくてもいいと言われると、心にポッカリ穴が開いたように感じられるのかも知れません。
でも、今まで治療のためにできなかったことは無いですか。大好きな散歩や読書、編み物、スポーツなど・・・。 そんなことに目を向けて、体調を見ながら少しずつ再開してみませんか。
また他の人はどう過ごしているのだろう、同じような経験をした人に会いたい、話を聞いてみたいということがあれば、患者会に参加してみませんか。県内には、病院内にも病院外にも様々な患者会やサロンが活動していますので、勇気を出して、その扉を開けてみませんか。
今自分がどんなことに不安を感じているか、何が辛いのか・・・、そんな気持ちをまずは相談員に吐き出すことで、一緒に解決の糸口を探してみましょう。
勇気を持って決断されたのですね。その思いを私たちは全力で応援します。
あなたの考えている治療は、がんと闘うための治療(手術、抗がん剤、放射線など)でしょうか。今後生活に支障が生じるような症状(痛み、だるさ、食べられない、不安など)が出た時に、気軽に診てもらえる先生が欲しいと思っていらっしゃるのでしょうか。
治療には、がんを治すための積極的治療と、身体や心に生じる苦痛を緩和するための緩和的治療があります。
積極的治療をしないと決めたからと言って、これから一切、先生や病院に診てもらえないということではありません。何か辛いなと思った時には、診てくれる先生も病院もあります。それが緩和治療であり緩和ケアです。
まずは、主治医に「積極的治療はしない」と伝えてみましょう。その上で、引き続き診ていただけるか確認しましょう。もし、それが出来ないのであれば、生活に支障が無いように手助けしてもらえる緩和ケアを行っている先生を紹介してもらいましょう。
また自宅で過ごしながら、ご自宅に先生や看護師さん、ヘルパーさんなどが来てくれる方法(在宅療養)を選ぶことも出来ます。
治療をせずに過ごすことで、今までの生活をそのままの形で続けられることは非常に喜ばしいことでしょう。しかし、がんを抱えながら平穏な気持ちで過ごすことは並大抵のことではないとお察しします。
悩んだり迷ったりした時には、いつでもご相談ください。一緒に考えていきましょう。
ご家族だけで面倒を見たり、見守ったりしなくてはならないと考えると、大きな不安を感じるのは当然のことでしょう。 しかし今は、介護保険(生活を支える介護のこと)や医療保険(療養を支える医療のこと)を使いながら、在宅診療や訪問看護、介護ヘルパーなどの在宅支援サービスを利用することが出来ます。 24時間体制で対応してくれるところも増えてきています。
主治医や担当看護師、相談窓口でも在宅療養に関する情報を提供してくれますので、まずは「在宅療養について知りたい!」と伝えてみてください。 支援してくれる体制を整えることは、不安を和らげる最良の方法です。
治療しながら仕事をするにあたって不安なことはなんでしょうか。体力面でしょうか。お給料のことでしょうか。職場の仲間との関係についてでしょうか。体力面では辛いと感じることもあるかもしれません。しかし、社会の一員として働くことで、やりがいが感じられ、生きる目標が明確になることもあるでしょう。
まずは、その不安な気持ちを私たちに相談してみませんか。
ハローワーク仙台では、「長期療養者支援窓口」が開設されています。
また下記拠点病院にて、出張相談も行われています。(要予約)
宮城県立がんセンター
【日時】第1、3木曜日 10:00~15:00(祝祭日除く)
【予約】がん相談支援センター 022-384-3151(代表)
東北大学病院
【日時】第2火曜日、第4木曜日 13:00~15:00(祝祭日除く)
【予約】がん診療相談室 022-717-7115(直通)
東北労災病院
【日時】第1、3火曜日 13:00~15:00(祝祭日除く)
【予約】がん相談支援センター 022-275-1111(代表)
宮城産業保健労働総合支援センターのサイトも併せてご覧ください。